前回ではぎっくり腰になってしまってまずすぐやっていただきたいこと・心に留めていただきたいことについてお話ししました。今回はその次のステージ、実際のギックリ腰に対する鍼灸を中心とした治療についてご説明します。
受傷筋肉の働きと治療時の体勢
痛みと恐怖を伴うギックリ腰。
何らかの原因で傷ついた筋肉は炎症を起こし、熱を持ち強い痛みが伴います。受傷直後は痛みが強いこともあり、腰全体が痛む感じで、患部確認の際はご本人もはっきりとした場所が分からないということも多々あり、また痛みの原因となる筋肉も複数存在します。
今回はその中でも身体の深部にある「腰方形筋」と「多裂筋」を例に挙げます。
「腰方形筋」 ・・・体幹(腰椎)を後方や側面に反る作用
「多裂筋」 ・・・首から腰までの背骨をつなぎ、支える作用
いずれも腰回りで重要な働きをする筋肉です。
ここでいう働きとは、重い物を持ったりする「パワー」的な意味ではなく、立位や座位で体幹を支えたり、わずかな幅の動きをするといったことです。我々の日常はそういった反復動作の繰り返しが多くを占めています。そのため、ここで不具合が生じると日々の動作に差し障りが出て、後々日常生活が困難なことになりかねません。
次に、施術ベッドに横になりますが、これが困難な場合も多いので、まずはゆっくりと時間をかけて姿勢を整えます。
最初は膝を立てた仰向けで状態の確認。次にうつ伏せになります。
これが理想ですが、それも難しい場合は、座位で治療を始めます。
ここでのポイントは、出来るだけ身体が弛緩するポジションを取り、ゆっくりとした呼吸を心がけることです。
横になった状態でも、座った状態でも、筋肉の緊張が緩和するポジションを見つけだし、痛みが少しでも落ち着く方向に誘導してゆきます。施術において痛みや怖さが先行することは回復の妨げになります。落ち着いてご一緒に取り組みましょう。
患部(メジャーパート)とその関連箇所への適量刺激
まず、ギックリ腰で損傷することの多い腰方形筋と多裂筋へのアプローチですが、二つの筋肉にある肓門・志室、腎兪・大腸兪といったツボに弱刺激で鍼治療を行います。
また、負傷箇所を守るために過緊張している下肢の筋肉(ハムストリングや下腿三頭筋)や腹部(腸腰筋)へは、中程度の刺激で鍼やお灸をします。
ここでのポイントは、患部への鍼治療はほとんど感じられない程度、関連箇所へは筋肉の強張りがスッと緩む程度の刺激であることです。
鍼灸の場合、刺激はわずかでも患部には十分作用しています。
また、過敏な患部は触られるだけでズキッ!と激しく痛むので、丁寧に優しく触れることを常に意識しています。
患部以外・マイナーパートのフォロー
上記をギックリ腰におけるメジャーパートとし、施術後に一旦状態を確認します。
そして、さらに痛みがある箇所や筋肉の緊張のある箇所を探っていきます。
患者さまの中には徐々に痛み中心部・メジャーな部分の認識が出来てつつも、患部から離れた身体の緊張についてはあまり気づいていないことがあります。痛みの背後(マイナーパート)にある筋肉の緊張や異常を探り、緩めることはとても重要です。
鍼灸治療で疼痛緩和を行い、コンディショニング整体で緊張箇所を緩めていきます。
炎症がおさまるにはどうしても時間が必要ですが、コンディショニング整体による施術は身体がリラックスした状態になり、それが脳に良い刺激を与え炎症を抑え、回復のプロセスを促します。
ここでのポイントは、個々の筋肉の状態に合わせたアプローチであること。
患部からは離れたマイナーパートには、患者さまによってはある程度しっかり力を入れて、筋肉や靭帯をほぐします。お体の状態と、それに適した治療方法や強弱や治療頻度の見極めが大切になります。
ギックリ腰治療内容の組み立てと改善の目安
以上が、ギックリ腰治療の一例です。
人によってお身体の状態は違い、マイナーパートの治療が先行することもありますが、私は患部のみならず、その背後にある隠れた緊張や異常を手当していくことを重視しています。
症状の改善には、この過程を3~5回行うことを目安と考えています。
ギックリ腰になってしまった方、とにかく痛くて日常生活どうしようかと途方に暮れている方、ギックリ腰をもう繰り返したくない方、一度ぜひご連絡ください。何らかのお手伝いになれることと思います。
BODYWORKS 麻布
田澤 大輔
画像はこちらからお借りしております。