肩や首の痛みに加え、不眠に悩んむNさんの治療計画は、以下の3点に基づいて立てました。
冷えた身体の血行を促進
質の良い睡眠を確保
頚肩部の痛みを改善
院での鍼治療、指圧(筋肉の深層部まで刺激を与え、筋肉組織の緊張の緩和を促します)、筋肉マッサージ(筋肉の疲労物質を除去し、筋肉本来のバランスを取り戻して正常化します)、リンパマッサージ(リンパの流れを促し、血流の滞りを軽減します)などの施術に加え、Nさんご自身にやっていただきたい宿題をお出ししました。
暑熱順化を目指した取り組み
Nさんは、冷房が強い環境で過ごし、汗をかくことが少ないため、暑熱順化の体作りに取り組みました。
Nさんは特別な運動経験がありませんでしたが、歩くことが好きとのことで、早朝ウォーキングを提案しました。これにより体内時計をリセットし、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を促進する狙いです。
開始:ペースや距離を気にせず、まずは60分歩くことから始める
結果:15分/kmのペースから10分/kmにスピードアップ。Nさんはウォーキングの楽しさを見出し、平日はご自宅周辺で早朝の静けさを感じながら60分、休日は代々木公園や日比谷公園で樹木や植物を楽しみながら90分のウォーキングを実施。ウォーキング後にはしっかりと汗をかくことができ、途中カフェで朝食を取ることも楽しみとなり、日中も爽快な気分で過ごせるようになったとのことです
現れた嬉しい効果
約2ヶ月後、ウォーキングを続けた結果、次のような改善が見られました。
施術時に私が感じていたNさんの手足の冷えが改善
ぐっすりと眠れるようになり、睡眠の質が向上
頚肩部の痛みが10から4に軽減
体重が約2kg減少し、身軽さを実感
Nさんは新たなウォーキングコースを考えたり、カフェ巡りのリサーチなどを楽しくされているようです。
いつも思うことですが、こうしてご本人が『良くなりたい!なるぞ!』という強い意欲を持つことに勝る治療法はありませんし、実際に症状の改善につながることが多いです。
不眠症の大敵:冷えを寄せ付けない身体にするために
思いかげず冷えが安眠を妨げていることがよくあります。不眠症があるなしに関わらず、身体を冷やさないこと・自分自身を温め続けられる身体づくりは本当に大切です。
定期的に適度な運動を取り入れる:血行を促進し体温を維持することで、筋肉の緊張が緩和され、リラックスした状態で眠りにつきやすくなります
環境を整える:自宅・職場・寝室の温度管理を適正に行い、就寝前に温かいお風呂に入る・心地よい寝具を使う・アロマを使う・軽くマッサージやストレッチを行うことで、リラックス効果や睡眠の質をより高めることができます
身体を温める食材を摂る:冷たいサラダよりは温野菜を・氷の入った冷たい飲み物よりは暖かい飲み物を・根菜類や生姜など身体を温める食材を積極的に摂ることもいいことです。また、筋肉の素になるたんぱく質や、寝ている間に下がった体温をふたたび上げるため、朝食をしっかり摂ることも大切です
Nさんの成功例から学べることは、冷えが睡眠に与える影響の大きさです。体温の調整や血行促進が睡眠の質を向上させることが実証されています。無理のない範囲でできることから取り入れ、少しずつ改善を目指すことが大切です。
BODYWORKS 麻布
田澤 大輔
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